■体験談:中矢千賀子さん

体験談 中矢さん

絵巻寿司で家族に笑顔を増やしたい

絵巻寿司のルーツ、千葉県を中心に発展した郷土料理「太巻き祭りすし」との出会いが大きな転機に。巻き寿司づくりの楽しさを伝えたいと、公共施設の会場を借りて絵巻寿司の講師として活動を始めました。きっかけについて「自分も子どもが小さかった頃、お母さんが子どもを川へ投げ捨てるなど、かわいそうな事件が多かった。共働きが多くなり、パソコンが普及し始め習得しなければいけないなどゆとりのない時期、その影響が子供にでているのではないか?」と当時を振り返り自身もご主人の仕事を遅くまで手伝っていた中矢さんは言います。「そんな時代だからこそ食卓に絵巻寿司があがることで家族の中に笑顔を増やしていきたい」。
また、自分なりにパーツを組み立てて失敗するとぐちゃぐちゃっとおにぎりにして捨ててしまった経験のある中矢さん。「せっかくのお米がもったいないし悔しい。どうせなら一からきちんと教えよう」と参加者の立場にたち順序だてて教えるようになったそうです。

日本の伝統文化 のり巻きの復活

巻き物を作らなくてもスーパーやコンビニで簡単に手に入る時代。参加者の中には、「巻きすを捨ててしまった」「カビがはえた」、「まきすに触ったことすらない」という若い方もいらっしゃったそうです。
巻きずしの中にはいる高野豆腐やかんぴょうは、砂糖としょうゆとお水で煮るだけ。誰でも簡単にできます。おばあちゃんの味をお母さんへ伝えることもできます。スーパーに走らなくても家庭の中でおばあちゃんやお母さんが巻いてくれると笑顔ができて子どもたちが悲しい思いをしないですむ。家族の中に食文化の海苔巻きが復活します。そして家族の中におばあちゃんが作ってくれたおいしい味の記憶が残る。いつもの時代も、子どもたちに幸せな食の記憶は大切なのです。
「鼻や目が曲がっても成功。絵巻寿司に失敗は絶対ない。見てくれる子どもたちやおじいちゃん、おばあちゃんは大喜びしますよ」と中矢さん。

64歳で起業 検定協会を設立

初めは笑顔を作る教室だったが、資格を取りたい、もっとパーツを増やした難しい絵柄に挑戦したい、上を目指したいという要望に応え、絵巻寿司検定協会を設立しました。1級は細巻き寿司から始まって手巻き寿司3本を作ります。巻きずしはこうゆうものだとわかって頂けるだけで大満足です。

中矢さんは言います。「巻きずしでなくても、習字やぬいぐるみ作りでもいい。先生と呼ばれる腕がなくても大丈夫。近所の若いママやおばあちゃんたちに来てもらって一緒に楽しめばいい。自分が未熟だと知っていることが大事。私も未熟なまま教室を始めて教えてもらうことがたくさんあり、そこから成長してきました」
巻きずし教室から始まって家族の協力も得ながら活動の場を広げていった中矢さん。自分が未熟であると認めながら周りの方から学び成長していくという謙虚な姿勢に多くの方の共感が得られたのだと思いました。

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