2016年12月10日(土)10:30〜15:30
10:30~12:00 1部 「介護と仕事の両立」セミナー
 12:00~15:30 2部 ランチ付き交流会と両立応援フェア
 お土産付き/抽選会あり
主催:みんなのキッチンロクマル運営事務局
共催:(公益財団法人)男女共同参画推進協会
後援:横浜市政策局
会場:アートフォーラムあざみ野セミナールーム

セミナー風景

「親の介護が始まりそう、仕事はどうするの」。漠然とした不安を抱えた仲間が集い、師走の一日を語り合いました。

介護真っただ中というリアルな話に、現場を熟知しているプロがアドバイス。地元企業の社長さんからは介護離職させないための取り組みの話あれこれ。出展ブースでは、両立を応援する企業が商品やサービスを提案し、個別求人相談にも応じていました。横浜市の調査では、55〜60代の6割が今後介護に関わることになると予想。社会という大きな枠で考える問題が山積みです。

1部 「介護と仕事の両立」セミナー

介護体験者のトークと両立につながるアドバイス

後藤さんと松田さん

◆体験トーク:仕事を続けながら遠距離介護をしている後藤広美さん

パートと料理教室の仕事をしながら、兄弟との温度差や遠距離ゆえの出費等を気にしつつ、いつ終わるかわからない介護に奮闘している。パートの仕事を最近は週2回に調整し、辞めるという選択ではなく仕事を縮小。

◆アドバイス:訪問看護師 松田栄子さん

都筑区医師会を母体とする訪問看護ステーション管理者を経て、訪問看護ステーション「みよみよ看護」を開設。長年の看護現場の経験から、医師やケアマネジャーとの連携で在宅での暮らしを支える。松田さんと後藤さんは57歳。子どもも同年齢という偶然の同世代である。

●松田さんのアドバイス:介護制度のしくみを知ろう

二人のトーク横浜市の介護保険パンフレットから制度の基本を復習しました。 
*40歳以上の市民が介護保険に加入し、65歳以上(第1号被保険者)、40〜64歳(第2被保険者)が利用できる。
*サービス利用までの流れ 
1.申請 
2.心身の状態を調査 
3.要介護認定を受ける 
4.ケアプランを作成し事業者と契約 
5.サービスを利用

後藤さんの体験トーク:気持ちよく母を看取りたい

後藤さんのトーク

【認知症発症前に母自らが施設を決めていた】

兵庫県のサービス付き高齢者住宅は母が申し込んだとのことです。認知症がひどくなった頃、施設からのアドバイスでサービスを開始。母はサービスに抵抗することが多く、ヘルパーさんが来ることを嫌がり家に入れたくないとわがままを通した時期がありました。

【感謝の言葉が一言あれば】

今の選択は母にとって本当によいことか悩むことがあります。しかし、家族としてこれでよかったと後悔しない介護ができればと、娘としての思いを話してくれました。介護が何年続くのか、いつまで自分がついていけるかは見えませんが、ありがとうという言葉があれば気持ちに寄り添えます。長く続けていくために、周囲の支えと感謝の気持ちがあるかないかが、頑張りがどれだけ続くかにかかっています。

松田さんのアドバイス:介護は一人でかかえ込まない

松田さんのアドバイス家族はサービス担当者会議のミーティングにはぜひ参加してほしいそうです。サービス内容を理解した上で、家族だけでかかえ込まずに施設に任せることも必要です。

【在宅看護での看取り】

松田さんは在宅看護で月に3名くらいの看取りに立ち会います。亡くなるということをその人の人生のゴールととらえ、本人もがんばったと思えるように、まわりも本当にありがとうと言えるように、後悔がない看取りのお手伝いをしていきたいという思いがあるそうです。

企業に聞く 介護離職を減らす取り組み

宮田さんと為崎さん

◆有限会社アネスト 代表 宮田雅章さん

横浜市青葉区にあるアネストは、お弁当の小物やカップ等の製造メーカーで、海苔カップという「食べられる容器」がヒット商品。社長である宮田さんは従業員の働きやすい環境づくりを心がけている。

◆アドバイス:中小企業診断士 為崎 緑さん

特定非営利法人よこはま地域福祉研究センター理事。「共に考え動く」をモットーに商店街や地域の活性化、ソーシャルビジネスの支援にも関わる。プライベートでは、残る2人の親をもつ介護世代でもある。

●宮田さんのトーク:自慢は社内の雰囲気がいいこと

宮田さんのトーク

【自らの生い立ちが会社理念につながる】

両親は40代後半にガンで他界。宮田さんが高校2年の時でした。53歳になった今、父親の年齢を越えた自分の今からの人生はおまけの時間、これからは人を大事にする社会に役立つ会社をつくろうという思いがありました。

【社員同士が共有できる職場環境】

従業員の平均年齢は52歳で定年70歳。シフト制で週4日、1日7時間勤務が基本。介護をしている人は現在3名。有給休暇も申請しやすい職場と語ってくれました。従業員それぞれに役割があることも重要で、職場意識が一体感をつくり出しているそうです。

●為崎さんのアドバイス:両立支援のための働く側・企業側の心構え

為崎さんのアドバイス

国が作成している「介護離職を予防するための仕事と介護の準備ガイド」の概要から、これからの方向を示してくれました。

(働く側のポイント)
*家族の介護を職場に早期に伝え、勤務先の両立支援制度を利用する。
*介護保険サービスを利用し自分で介護をしすぎない。
*ケアマネジャーを信頼し何でも相談する。
*日頃から近所との良好な関係を築く。
*介護を深刻に捉えすぎずに自分の時間を確保する。

(企業向けのポイント)
*社員の仕事と介護の両立の実態を把握し、支援制度の設計と見直しをする。
*介護に直面する前に従業員への支援・情報を伝える。

2部 ランチ付き交流会と両立応援フェア

高齢者向けのお弁当の試食会

栄養バランスや食べやすさにこだわった配食サービス会社の昼食を体験しました。おかずの熱量は263キロカロリー、塩分相当は2.1グラム。
お弁当ランチ風景

自己紹介で介護の思いや不安を共有

交流会

恒例の1分間自己紹介で情報交換。介護の体験談やこれから介護と仕事をどうやりくりするか、参加者それぞれの事情が見えてきました。

【介護が終わった当時を振り返る】

十数年前に介護を経験した参加者は、今は多くのシステムができていることに驚いたこと。また、介護保険のない時代に親がたすけあいグループにお世話になったことを懐かしく話してくれた方もいました。

【現在の親の状況を悩む】

他人は嫌、入所も一人暮らしも嫌というサービスを受け入れない母親にどうプランを進めていったらいいのかが見えてこないという声。また、遠く離れて暮らす両親が、いつまで自活できるかが不安という参加者の不安。

【自分の体力をつける努力で将来に備える】

介護に直面することを考えて勉強のために参加したプレロクマルは、介護保険を使わないよう体力をつける努力をしたいと将来に備えているそうです。介護をテーマに家族会議をしたいという参加者や、子どもには役立つ介護の情報を早めに知らせたいという発言もありました。
ワイン抽選会

【60歳からは人生の第二楽章と意気込む参加者】

ゼロからの再スタートをしたという男性は、認知症予防ケアや発達障害の子どもたちのサポートをライフスタイルにしたいと熱く語ってくれました。また、来年60歳の男性は、再雇用制度という選択を捨て、父親の介護に専念するという決意をされていました。

*会の最後に、年末にふさわしいワインが当たるくじ引き大会が賑やかに行われました。また、協賛の株式会社明治からは栄養機能食品メイバランスを参加者にプレゼント。

両立応援フェアブース出展会社

ブース

株式会社 丸福仁(訪問鍼灸)

介護する人・される人の疲れを癒し、健康をサポート。高齢者や障害者は医療保険が使える。からだをほぐすことで痛みが和らぐ。
http://marufukujin.wixsite.com/mysite

医療法人社団山本記念会 有料老人ホーム夢別邸(老人ホーム)

利用者の声を反映した老人ホームを展開。地域の皆様と、さらに進む高齢化社会を考えたい。

合同会社スターアイズ〈アロマケア〉

オーガニックのエッセンシャルオイルを扱っている。鼻から脳に直接作用して心もからだも調和できる。
http://ameblo.jp/hirokostyleplus

愛ケア整膚〈整膚〉

自分でも手当てができるセイフ(整膚)のやり方を紹介。皮膚を軽くつまんで引っ張ると、からだの体液がよく流れるようになる。
http://www.i-care-seifu.com

有限会社東洋モータース川崎店〈福祉車両〉

介護では車は移動手段。障害のある方が車での移動をしやすく。福祉車両の改造等でお役に立ちたい。
www.toyo-kawasaki.com

株式会社ケアプロデュース〈老人ホーム情報館、シニアビジネス情報館、訪問マッサージ〉

老人ホームや高齢者の住まい紹介。
www.roujin-homes.jp

ねこの手メイドサービス〈家事サービス〉

介護や仕事で家事の時間がない方歓迎。ロクマル求人フェアでは男性を採用した。介護認定の利用者も多く、家事サービスと話し相手で支援する。
http://nekonote-maid.sakura.ne.jp

◇◇◇
「介護をしながら仕事を続けたいけれど、財政的にだいじょうぶ? 自分の老後も心配」「介護保険をよく知らず不安」というプレロクマルの参加者が多いサミットでした。
介護には思いがけないほどお金がかかることも再認識。
まずは自分の健康と人とのつながりを大切に、介護と仕事の両立をめざしていきたいものです。
社長キャラが光る、働きたくなる職場トークも好評でした。何でも言える社風をつくるって魅力的!