2017年4月1日(土)13:00〜16:00
主催:NPO法人ロクマル
協賛:LIXIL(リクシル)ショールーム横浜
後援:横浜市経済局 (公財)横浜市男女共同参画推進協会
会場:LIXILショールーム横浜
横浜みなとみらいで開催されたNPO法人設立記念サミットは、参加者70名を超える盛会となりました。いよいよNPOロクマルスタートです。
ロクマルゲスト6名が、元NHKおはよう日本リポーターの入田直子さんと軽妙なリレー対談で熱く語り合いました。60歳は培ってきた技術や能力を生かし、この年代だからこそできる働き方にチャレンジする時。まさにロクマルのターニングポイントです。サミット後半は恒例の交流会。ミニコンサートと ティータイムで盛り上がりました。
リレー対談 60代からの挑戦!
姉妹で開く教室が若い世代を中心に拡がりを見せています
精進料理教室 iori 主宰 暁美さん(68歳)と五月さん(65歳)姉妹
今が人生のなかでいちばんにぎやか
60代で精進料理教室が大ブレイクし、人生初のレシピ本も大好評の園部暁美(あけみ)さんと中園五月(さつき)さん。昨年秋には何とレシピ本2册目が出版されました。教室を開くようになってからは若い世代と友だちになる機会も増えたそう。出会いがあるときにチャンスを逃さないお二人は、地域の活動からさらに拡がりを見せて大忙しの毎日を送っているようです。
魅了された精進料理は心のよりどころ
ユニット名「iori 暁美と五月」がすてきです。庵はふるさと、やすらぎの里をイメージし、精進料理は心のよりどころとなりました。精進料理との出会いは40歳の頃、これから歳をとっていく自分に迷っていた時期でした。精進料理をいただくことで心が軽くなっていく自分を感じ、精進料理は自分の信じるものと思えるようになったと語る五月さん。そして、暁美さんとともに仲良くこの道を歩んでいくことになりました。
ところで、精進料理って何?
姉妹が実践している精進料理とは、殺生をしない、五葷(ねぎ、にら、にんにく、あさつき、らっきょう)を食べない、お酒は飲まない、といった仏教の教えをゆるやかに食生活に取り入れようというもの。いのちや平和について改めて考えるきっかけをつくる料理ですと語るお二人。精進料理を身近に感じて体験してほしいと、からだにやさしい精進料理の知恵を伝えてくれました。
人が集まることでさらに拡がりをつくっていけたら
9年前に都内で不定期に教室を開き、今は茅ヶ崎市のリベンデルの納屋キッチンを拠点に、野菜づくりのしながら精進料理を伝えています。教室は若い女性やカップルの参加も増えました。若い人に感心することも教えられ励まされることも多く、年代に関わりなく精進料理を通して同じ思いが伝わっているのではと感じるそうです。こんなになるとは思わなかったと語る姉妹は、何の気負いも感じられないナチュラルでかわいらしいパートナーです。精進料理は死ぬまで続けられる仕事になりました。
保育士資格取得に挑戦。試験に備えてラストスパート!
会社員 白鳥泰久さん(65歳)
退職後のロクマル人生は、子どもと関わる仕事に就きたい
この6月までは現役の会社員の白鳥さんは、保育士資格取得に一念発起。保育園や学童等の仕事へのチャンスを拡げていきたいという夢があります。夜は図書館で勉強し、社会人枠で大学の保育科目を受講して保育士試験試験に備えているということです。ちなみに、経歴は長年のアパレル業界後、生命保険会社に転職。そして保育の道へ進もうという夢。白鳥さんは大きく羽ばたきます。
子どもが好きな自分は父親の生き方に影響されている
孫が生まれてイク爺になった白鳥さん。もともと子ども好きで人に興味があったのは父親の影響で、すぐ近くにいる人生のお手本です。父親は102歳。あるとき、父親から強烈な言葉が返ってきたそうです「おれは心に炎をずっと燃やしたい。100歳を超えたときにその先に何があるかを見てみたい」そんな気持ちをもっている父親はいまだに「なぜそうなのか」と自問自答を続けています。自らも町で赤ちゃんが泣いていると、うるさいというよりも泣いている理由があるはずと感じます。自問自答してきたことで今の自分があると思っているそうです。
理論的に分析するって貴重であり、おもしろい
子どもの心を捉えるにはという司会の入田さんの質問に、経験値から初対面でも子どもたちと友だちになれると言い切る白鳥さん。会場ではパネルを示して心を捉える3要素を披露してくれました。さり気なくがキーワードだそう。具体的には、ほめて母親を和ませてから子どもにさりげなく接するという手法。2番目は、おもしろいテーマで子どもとの距離感を縮めること。最後は、質問されたらきみはどう思うと逆に問うこと。オウム返しで相手が乗ってくるそうです。オトナにも使えますねと多いに感心の入田さんでした。
女性にはいつまでもいきいきと美しくいてほしい
カラーアナリスト 中澤弘子さん(74歳)
68歳で仲間2人とカラーコーディネートサロンを開設
明後日になんと75歳という中澤さんは姿勢が整ったすてきな女性。カラーアナリストとは、お似合いの色を見つける専門職です。以前はパソコンオペレーターの仕事をしていました。この世界に入ったきっかけは、母親の看病のために会社を辞めた50代中頃、母親が亡くなり落ち込んでいた時期があったそうです。その頃、色で収入を得ることができるという広告に惹かれました。センスは努力で鍛えられ誰でもできるという話にすぐにチャレンジしました。新たなことに打ち込んでも気落ちがすぐに治ったわけではないのですが、好きなことで寂しさは忘れられました。現在は議論しながらも仕事が楽しい毎日ですと語る中澤さんです。
カラー診断のデモンストレーションで会場が沸く
似合う色を見つける実演で会場からのモデルさんは女性61歳。からだに当てる色によって顔色が変化する様子がよくわかりました。多数の人からいいねと言われた色がお似合いの色だそうです。当日交流会後には中澤さんの15分間カラー診断があり、希望者多数のためジャンケンで3名を決定しました。
プラス効果が出る色をみつけること
生まれた時から自分自身の持っているボディカラーに調和する色がパーソナルカラーです。中澤さんのパーソナルカラーはオレンジで大好きな色。ちなみにロクマルカラーもオレンジです。オレンジ色は、美しい・元気・新しいことに挑戦する・社交性を表すイメージカラーだそう。似合う色がわかると人は変わり、行動範囲が拡がります。これからの時代、高齢の方々が好きなカラーを身につけて外に出ていこうという気持ちになってくれればうれしいと語る中澤さん。話に説得力がありました。
何もできない主婦に世間は冷たいと思った、でもやればできた!
NPO法人 ワーカーズコレクティブ樹 ヘルパー
近藤美穂子さん(65歳)
お金がない! 生活のために仕事をしたい
8年前に夫を亡くした近藤さんは、独身時代に10年ほど事務所勤務。その後は専業主婦。何の資格もないという状況で就活を始めました。現実は年齢制限あり、資格所持者には道が開けるけれど、何もできない主婦に世間は冷たいと思ったそうです。
仲間もできて、ヘルパーになってよかった
介護職として働いて4年半。大丈夫、働けますよと言ってくれたワーカーズコレクティブ樹(アーブレ)は、市民による手作りのサービスを行っている団体です。3年前にヘルパー2級を取得。近藤さんは誠心誠意いのちをお預かりしているという思いで仕事をしてきましたが、介助は腰に負担がかかり思った以上に重労働です。しかし、体力的には大変でもやっていくなかでよかった場面も多くありました。このヘルパーに任せて大丈夫かという不安をもつ利用者さんが数回後に心を開いて受け入れてくれた経験がありました。ヘルパーを続けていくコツは、スキルも重要ですが相手の話をしっかりと聞くこと、相手の状況を知ること、心から対応することが大切と実感したそうです。今はヘルパーの同僚から助けられ、フォローしてくれる先輩や若い仲間には学ぶことが多く救われているといいます。表情が明るく人柄が感じられる近藤さんです。
今ある仕事のきっかけは、49歳で地域デビューしたこと
NPO法人 都筑民家園管理運営委員会
パート勤務 木村 格さん(69歳)
60歳になってからは通信教育で庭園管理士の資格を取得
木村さんは民家園で理事・事務局スタッフとして行事の企画運営や庭園管理に携わり、古民家の植木の剪定などは大変な作業だそうです。新しいことに関わることに抵抗がないと語る木村さん。結果として長く続けてしまうけれど、けじめをつけるために、3年区切りで考えて一度立ち止まることを心がけているということです。
50代のときの地域活動が今のNPOの仕事の下地になった
NPO活動に関わったことは大きな財産になり、心身ともに充実した花の60代を迎えられたことに大満足のよう。地域デビューのタイミングが重要で、40代後半、息子を地域のミュージカルサークルに入れたときに家族で参加し、自らも今まで知らなかった新しい世界を体験、おもしろいと感じたそうです。会社の仕事も忙しかった現役時代だったけれど、土日には多くの刺激をもらい、会社の忙しさとは異なる充足感があった時期です。
人生下山の時もあるけれど、新たなライフワークに挑む
まもなく70歳。その後のことは深くは考えていないと語る木村さん。人生下山の時も考えています。後輩にゆずるところはゆずり、やり残したことは進め、すべてを手放すということなく歩んでいきます。これからの挑戦は、今住んでいる港北ニュータウンの歴史と向き合うこと。ライフワークとしてふるさとのヒストリーとアートを繋げていくという大きな夢に向かっていきます。ご自身がデザイン系出身者だからできる次なる構想なのかもしれません。昔から峠は近づかないと見えないといわれていますが、人生という山を登っているのか下っているのか分からない時もあります。まだまだ先があると思って登っていくことも楽しいものです。
■協賛の LIXILショールーム 横浜支店長よりご挨拶
リクシルは5つの企業が1つになった新しい会社で、2016年10月にショールーム横浜がオープンしたこと、また、「みんなにトイレをプロジェクト」の取り組みで、世界の衛生環境の改善に向けて貢献していくこと等を話されました。
交流会 ミニコンサートとティータイム
司会を務める入田直子さんが武蔵野音楽大学の同期7人で結成したグループ「WAWAWAフレンズ」による歌と演奏です。今回はメンバーのうち3人が出演。
おなかをキュッとしめ、口角を上げてにこやかな顔で、上を向いて、とレクチャーを受けながら、みんなで楽しく口ずさみました。
(今回の曲目)♪アメイジンググレース ♪五木の子守唄 ♪おてもやん(熊本)♪おぼろ月夜 ♪花 ♪ふるさと
理事長有澤からのロクマル宣言
NPO法人ロクマルの魅力は、共感する人が集まって仲間と一緒につくっていくこと。ロクマル白書の企画も進んでいます。活躍しているロクマルや企業の取り組みを書籍のなかにギュッと詰め、みんなの指針になることをめざします。
会場の皆さんの1分間自己PR
30代から70代までの20人ほどの参加者に一言をもらいました。リタイアして起業した男性。まもなく退職の男性は仕事がなくなることに不安な様子、料理に興味をもっているそうです。地元でクラウドファンディング(インターネットを使った善意の寄付)のサイトを運営している男性は若い仲間とこの会に参加。女性たちも動いています。自宅で小さなカフェを再開した人。地域で劇団に関わっている60代。地域への恩返しに自宅でコミュニティカフェ営む50代。最後に有澤さんより、働くには健康でなくては。体力つくり・筋肉づくりに励みましょう、と元気が出るコメントをもらいました。
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2017年4月 NPO法人ロクマルが始動しました。生きがい、やりがい、人に喜ばれ・地域に役立つ、そんな働き方や仕事を見つけるための一歩がロクマルサミットです。今回のロクマルゲストのように、夢があり勉強になりますと人に言えることがすばらしい。まずは等身大の自分を大切に、出会いを大切に、そして学ぶ姿勢をもち続けることで、自分らしい未来が開けるのでは、と改めて思いました。