開催 2018年5月26日(土) 13時~15時 会場 みんなのキッチン

第1回目のテーマは
「高齢社会を学ぼう、知ろう」


男性も含め40名の参加があり、急きょイスを追加するほど。高齢社会を自分のこととしてとらえようという積極的な姿勢が伝わってきました。

第1部 横浜市の高齢社会について

都筑区高齢・障害支援課 地域包括ケア推進担当係長 
菅野美穂氏

横浜市の中ではもっとも若い都筑区だが、その一方で高齢化のスピードも早い

横浜市のなかで一番高齢化率の低い都筑区ですが、平均年齢は徐々に上がっています。
※65歳以上の割合:横浜市24.3%、都筑区17.5% 平成30年1月1日現在
これは他区に比べ高齢者の転入が多いことも影響しています。50代60代の人が親を自分の近くに呼び寄せるケースや、利便性の良い高齢者向けの施設に入居する方が多いからと考えられます。
住み慣れた地域を離れ、新たな地域で暮らす方は、新たな人間関係をつくらなければなりません。孤立しないよう、対策を考えています。

横浜市の取り組み~元気な高齢者が社会参加できる仕組み作り推進

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を見据え(都筑区では65歳~74歳の前期高齢者が増えるのが特徴)。横浜市では元気な高齢者が社会参加できる仕組み、元気でいられる仕組み作り(横浜型地域包括ケアシステム)を推進しています。

今までのように行政が主導して行うのではなく、地域の中で必要な仕組みを自分たちでつくってもらい、行政はそれを支援するというもの。元気づくりステーションや、認知症予防カフェ、シニアスター養成講座などがあり、たくさんのボランティアや介護予防のグループが生まれているそうです。シニアスター養成講座では、80歳を過ぎた方が受講仲間とともにグループを立ち上げ活躍しています。

地域ケアプラザを活用しよう!

地域ケアプラザはディサービスのイメージが強いのですが、実はいろいろなことをやっています。生活に役立つさまざまな催しや、地域の方の交流の場としての場所の提供、講師の派遣など。地域の社会活動などの情報もさくたん持っています。介護保険の申請や相談も受けています。土日も夜も開いているので、平日に時間の取れない方も気軽に利用してくださいとのことです。

参加者の声から

都筑区以外の区から参加された方も多く、何名かの方から「うちの区はちょっと違う」との感想がありました。認知症予防カフェの数などは区によって随分違うようです。人生の大先輩への遠慮から、声を上げにくいこともあるとか。

第2部 人生100年を幸せに生きるために

株式会社カインドウェアの介護事業部戦略室室長として高齢社会の課題に向き合う。
NPO法人ロクマル理事
稲葉瀧文氏
質疑応答

高齢社会の生き方は、“暗闇の中”手探りで見つける

寓話「ナスルディンのカギ」を引用。「ナスルディンの鍵」は、ナスルディンという男が家の中でカギを無くしたとわかっていながら、家の中は暗くて見えないからと明るい外で探し回るという話です。

「これから迎える未曽有の高齢社会は、まさしく暗闇の部屋です。誰も経験していません。解決のカギは過去の事例や常識の中には見つかりません。“暗闇の中”に潜んでいます。自ら“暗闇の中”手探りで見つけるしかありません。新しいことをすると世の中はネガティブに捉えがちです。しかし後から新しいことのほうが正しかったとわかる場合も多い。だから反発があっても恐れずに」
何とも深い話でした。

ロクマル世代の学び方

ロクマル世代からの学び方について、稲葉さんは次のように話します。「ナスルディンの鍵で言うところの暗闇を意識しましょう。たとえば読書。本にはテーマの表層部分しか語られていません。奥をさぐり、何を言おうとしているのか自分で見つけることが大事です。1冊の本を材料に、皆さんで語り合い深めていくのもいいですね」

本を鍵とした仲間づくりは、第1部の菅野さんの話にあった社会参加の仕組み作りに通じるものがあります。
※参考までに稲葉さんのお話に出てきた本は
「定年後不安」大杉潤
「50代から実る人、枯れる人」松尾一也
「GRITやり抜く力」アンジェラ・ダックワース
「孤独をたのしむ本」田村セツコ
「思考は現実化する」ナポレオン・ヒル

60歳からは、楽しい美味しいデザートの時間

歌手のイルカさんが「人生はフルコース、60からはデザート」と言ったそうです。「うまいこと言いますね」とこの言葉を紹介する稲葉さんに、多くの方が頷いていました。「ロクマル世代は、メインデッシュの後の楽しみ、美味しいデザートの始まりの時間なのです」

ゴールからスタート地点を見る

稲葉さんは目標となるゴールを設定したら、そこにたどり着く方法を逆算し計画を立てるそうです。それを山登りにたとえます。

「麓から山頂を見ると大変そうな山でも、山頂から麓を見れば、到達するまでの幾通りもの道筋や方法が見えるのです。たとえスタート地点で課題や困難に直面しても、ゴールから見ているので、それは当然のことと考え、辛いとか苦労とか思いません。設定したゴールは必ず紙に書いて、目の付くところに貼りだすことが肝要」と。

「ロクマル世代の目標の設定は自分の歴史の棚卸から。楽しかったことをもう一度やってみるなど小さなことでも良いのでゴールを設定して、デザート時代の登山を楽しみたいものです」

参加者の声から

「ゴールからスタートを見る」という言葉が印象に残ったと多くの方が言います。
69歳の女性は70歳から働く予定で、家族にも宣言し、いま着々と準備を進めています。「稲葉さんのお話に、勇気づけられました」
昨年の「ロクマル(50代・60代)からの働き方・生き方発見フェア」に来られた男性が、今回も参加。前回のフェアをきっかけに終活アドバイザーの資格を取得。さらに整理収納清掃コーディネーターを目指します。ご自身が経験した辛い体験が他の人の役に立つような仕事がゴールだそうです。

(レポート ロクマルライター 高せ)