開催 2022年11月10日(木) 
会場 ロクマル事務局・Zoom
講師 澤岡詩野さん(公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団主任研究員)https://rokumaru60.info/lec_20221110

全2回講座の1回目を受講した方から届いたコメントを紹介します。

「これから10年後の70歳も、きっと想像を超える何かをやっているに違いないと期待を込めて考えています。やりたいと思って、まだ成しえていないことをやるために、ゆっくりでも前進したい。
70になっても80になっても、今後の夢を語れる歳の取り方ができたら理想です」

5年後10年後、あなたはどんな豊かさを感じているでしょうか。
2回目の講座(2022年12月1日)で、さらに探求していきます。
1回目を受講していない方も参加できるので、ぜひいっしょに考えてみませんか。

第1回「ジブンゴトで考えてみませんか、〇年後の豊かさとは」

 人生100年にお手本はない。これから先の長くなだらかな時間にどう折り合いをつけていくか、5年後10年後に感じる豊かさはどうだろうか。

老年学の第一人者澤岡詩野さんのお話を聞き、「歳を重ねながらわたしらしく日常でできる豊かさとは?」に考えを巡らせた。

「豊かさ」とは何なのだろう?

 豊かさと似た言葉にウェルビーイング(よく生きる)があり、「心身の健康」「お金(経済的健康)」「社会的な健康(役割やつながり)」の3つが揃った状態をいう。しかし、これは人それぞれで、加齢とともに変化するし自分が関わる周りの大切な人達も変化していく。

 ここで、健康長寿を維持している80代の人たちから「豊かさ」の秘訣を教えてもらおう。

 まず、身体や心の健康のためには、なるべく早く元気なうちからよりよい生活習慣を「小さな積み重ね」で「継続」することが大事だという。しかし、一人では難しいと感じる場合もあるだろう。

 人と「つながり続ける」「小さなことでも新たな活動を始める」「ちょっとした貢献を続ける」こと。濃い人間関係はなかなか作れなくても、日常生活で何気ない会話のできる人たちとつながりを持ち続けたり、知的好奇心や人に少し役に立つことを持ち続けたりする。

70代には少しずつ自立度が低下し、保守的になり、新しいことを始めるのが億劫になってくる。しかし、自分の楽しみだけでなく、ボランティアなど他人とシェアする活動もまた、豊かさを感じる秘訣なのだ。

5年後10年後の「自分の身体や周囲の変化」を考えて種まきをしよう! 

 運動能力は30代をピークに低下していく一方、知的能力、言語能力は衰えが少なく、72〜3歳あたりからなだらかに下がっていく。

 また、現役時代よりも仕事や子供以外の親族とのつながりや役割は少なくなっていく。自分もまわりも歳を重ねていく中で、相手の変化もあわせてどう関係性を持ち続けるか、どんな役割を持ち続けるか。

 そこで、身体が弱くなっていく中でもこれまでの経験から培ってきた能力を活かし、仕事や親族以外との「つながり」を大事にしよう。それが今からできる「豊かさ」への種まきとなる。

豊かさと関連する共通のポイント

 男性の7割、女性の9割が70歳ころから虚弱化し、外出先や生活圏が自宅から身近な範囲に狭まってくる。そこで「自宅から近場」に、早いうちから種をまくとその先に花が咲く。

 人づき合いは、量よりも質を高めていく。距離感がある程度保てる「なじんだ」つながりは、一緒にいて居心地が良い。

 さらに、自分以外の誰かに、時間・楽しみ・情報・食物などを「シェアする」という視点も大切だ。これまでに習得してきた「できること」を誰かに分けると、誰かが笑顔になり自分も楽しくなる。

 もう一つ大事な視点に「多世代」がある。世代間をまたいだやり取りが新たな価値観を作り、共生社会に発展する。たとえば80代が60代に生き方を見せ、多様なあり方を伝えると、コミュニティは変わっていく。

講座の参加者より ~今後の私の変化を想像してみると・・・

*取りかかるのが億劫になってきたが、それに打ち勝つように身体を動かしている。75歳を過ぎてから始めたことがある。違う世界に種をまいている。(76歳)

*スピリチュアルや精神的なものに興味がある。運動をして身体のケアもしっかりしようと思う。知的活動が好きでカウンセリングの勉強をしている。(60歳)

*運動が好きでできるだけ歩いたり、水泳をしたりしている。人づきあいが上手ではないが、仲間づくりをしたいのでロクマルに参加している。(63歳)

*これから自分の背中を見せることを意識して生きていきたい。

*ロクマル世代を応援する意味でロクマルに参加している。90代も多分大丈夫だろう。(86歳)

*ロクマルの中に人生の先輩がいるので、この先は心配なし。皆からそう思わせてもらっている。(62歳)

*以前、ロクマルのイベントで澤岡さんのお話を伺ったことがあり、それ以来若い世代や地域と交流することを心がけている。あと5年は大丈夫だと思うが、10年後はこれからの課題。次回にも期待。(67歳)