2020年10月17日(土)
遠くて身近な問題 SDGsとは? なぜ取り組むのか
学び直し塾SDGsシリーズの第一回目の講座が始まった。「企業として何ができるか」企業の社会的責任に対するコンサルタント会社の環境コンサルタント大島正子氏の講座に深く考えさせられた。
最小単位は「個人の社会的責任」
SDGsとは、持続可能な開発目標の略称。一年前までは耳をかすめる程度だった。今日、その声が耳の奥まで大きく響いた。
5年前、国連サミットで193の加盟国が会場一致で採択した「SDGs」。10年後も20年後も安定した社会が続くための取り組みだ。 掲げられた17の目標に5つのキーワードがある。「人間」「豊かさ」「地球」「平和」「パートナーシップ」。そのキーワードの5つには、169の果たすべき目標がぶら下がっている。
放ってはおけない身近な問題
世界の人口は増え続けている。50年前は25億人だった人口が、現在77億人、30年後は97億人になるという。1950年~2050年の100年間で4倍の人口になる。この100億人近いすべての人々の暮らしが、平和で豊かに続いていくことは可能だろうか。可能にするための変化が求められている。そして、変化しなければならない。
地球の限界(惑星限界) 今年の夏は暑かった
講座で示された資料写真は衝撃的だった。グリーンランドの氷河は7年前にはすでに水になっていた。地球は一定の限界値を超えて回復力を失うと、社会や経済活動を危機にさらすという。その主な要因に、気候変動・化学物質汚染がある。
50年後の2070年に海面上昇の危機にさらされている都市の8位に、東京が入っている。2位はニューヨーク、1位はマイアミ。
海面の上昇等による気候変動が、高潮による冠水、食糧不足、自然災害、医学的な緊急事態などにつながる。
日本でも台風・大雨による冠水が今年の夏は多かった。身近に災害が迫ってきている。
温室ガスは24時間で約1億5,200万トンを大気に流す。発生源は永久凍土の溶解、化石燃料(石炭・石油など)・森林火災・工場等々が地球温暖化の原因となっている。 余分な熱によって海から大量の水が蒸発し、雨となって降り注ぎ、大洪水が起きる。熱は土から水分を奪い干ばつを引き起こす。
「より安い」ではなく「より良い」がエシカル消費のマーク
チョコレートの原料となるカカオ農場で働くのは子供たち。生活が苦しく学校にも行けず、過酷で危険な労働を強制されている。安い商品は弱い生産者の犠牲の上に成り立ち、地球環境をないがしろにしていることがある。
学校に通える・自立につながる・作った人たちの力になれるような買い物の仕方をエシカル消費という。 商品がどのようにして作られたか。労働力に見合う適正な価格で買うことが、貧困からの脱出にもつながる。
買い物の仕方で人権=生きる権利を守ることができる。消費者の理解がないと生産者は作り続けられない。カエルの絵の認証マークなど、エシカル消費のマークはたくさんあるそうだ。
プラスチック問題は氷山の一角
日本は世界で二番目。一人当たりのプラスチックの廃棄量である。3,4日前、NHKのテレビのドキュメント番組で小学4年生の女の子が愛読している絵本が映った。プラスチックの網やごみに絡まった大ウミガメ。涙にあふれた目をしていた。食品廃棄物は年間2,550万トン。まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は612万トン。
大量生産、大量消費、廃棄、これをリサイクルして循環型の経済社会へ。
天然資源の管理、熱帯雨林の伐採、大気汚染、温暖化、強制労働など多くの問題を抱えている。
未来は私たちの行動にかかわっている
SDGsは世界の共通目標だ。強制ではないが共通の物差しである。日本としてはどのようなことに取り組むべきだろうか。
その羅針盤としての政府の具体的な施策内容には3本の柱がある。
1.ビジネスイノベーション(AIやIoTを使った技術革新)
自分のことだけでなく社会にも目配りできるシステムをつくる。(たとえば留守中のペットの様子を見られたり、外出中にドアの開閉が確認できたりすることも?)
2.地方創生
環境にやさしい未来都市など、横浜市でも取り組みが始まっている。
3.女性のエンパワーメント
働きかた改革や、いまだ女性の政治家・管理職などが少ないなど女性の活躍を目指す。
動きは世界で日本で始まっている
講師の大島氏は、ご自宅の電気を全部自然エネルギーに変えるそうだ。その取り組みは東京や横浜、相模原などでも始まっている。「みんなでいっしょに自然の電気」で「みい電」とよばれている。
心に残った言葉はたくさんある。SDGs、しっかりと受け止めなければ。知る前と後では世界への繋がりが違って見えた。