2020年11月28日(土)

講師は、NPO法人知源ネット星野正則さん。5年前までは公務員。中小企業・起業者の支援者として知財コンサルのNPO法人を立ち上げた。

人生は100年時代の現実は?

100年時代の自分の立ち位置を考えてみよう。国家の予算もコロナで借金累積が増えている。国民の平均寿命は毎年伸びているがリタイア後の収入と生活費の差額は6万円のマイナスと厳しくなる一方だ。国民の一人当たり貯蓄額は2,300万円、裏返すと将来への恐れ・不安・他人を信じられない世相世代への備えととれる。

リンダ・クラッットンの著書「ライフシフト – 100年時代の人生戦略」では「3つのステージ」(教育・仕事・引退)から「マルチステージ」(人生の選択肢が多様化する)への変化に対応して人生の計画を立て直すことが必要になってくるそうだ。

健康寿命80歳まで働き続ける人生の中では今までのキャリアは、錆びついて役に立たなくなるかもしれない。価値観を変える必要がある。生涯を通じて変身を続ける覚悟がいる。高度成長時代は競い合い、凌ぎ合ってきた。これからは共に生きる「分かち合い」の価値観への転換が必要なのだ。

長~い箸はどう使う? 場面に合わせて頭を柔らかくする

「長い箸をどう使うか?」の寓話は天国と地獄の物語・・・長い箸では自分の口にご馳走を運べないのは「地獄」。長い箸を使って周りの人にご馳走を食べさせる、自分も周りの人からご馳走を口に入れてもらうのは「天国」。

長い箸という同じ条件でも、環境・構造によって違った場面が展開する。

受けた恩は返すを「誰かから受けた恩を別の人に送る」にしたらどうだろう。恩返しはなにも必ず本人に返さなくてもよいではないか。回り回って自分に返ってくるのだ。「恩返しから恩送り」への発想の転換で、周りからの優しさも素直に受けとりやすくなるという。

たかが3万円、されど3万円

何故3万円なのか。たとえ無駄でも大きなダメージは受けない、生かせば貴重な3万円になる。出来ないという言い訳をさせない金額だからこそ、ノーリスクのチャレンジをしてみよう。

起業が求められているが、支援を受けるための書類作成のハードルはかなり高い。星野さんがよく相談を受けるのは事業計画書の空欄を埋めること。詳細な記入事項は見ただけでギブアップしたくなる。

このハードルを下げるには、3万円ビジネスが良い。役所に届けでる必要はない。

やってきたことの中から、1)好きなことを探し 2)イイコトにつなげ 3)稼げる仕事にすることだ。

3万円ビジネスの取り組みを5つの視点から見てみよう

1)社会の要請にこたえるテーマであること

2)わずかでもお金になること

3)独りよがりにならない、周りのアドバイスを受ける

4)自分の個性を見極める、流行りのものにとりつくと長続きしない

5)最初のアイデアそがのままうまくいくことはない。だめだと思ったら次のテーマを探す。自分で考えたモデルなので引きずられないという利点がある。  

成功例としての取り組み事例は

▼マザースープニュース 

英語版ニュースの日本版全員になると日本語訳がEメールで送られてくる。

▼アップサイクル・アート

廃品・中古品に新しい価値を見つけていく。トラックのホロやシートベルトからバッグが誕生

▼市民農園ビジネス:

休耕地を貸し出してもらい、芋・麦を栽培して楽しんでもらう。収穫し現物払いでレンタル料を支払い、焼酎を作って売る。

その他の事例

・手仕事カフェ、日替わりで使うコミュニティカフェ、手作りのハッピーウェディング・都市農業

・手編み製品のWebでの販売、二十四節季ビジネス、独身外食者に食事の提供

・NPOで外出支援サービス(有志の市民)

ゲーム感覚でワークショップ

休憩の後はグループに分かれてのワークショップ。制限時間は15分。

グループ内で、各自の3万円ビジネスプランを考え発表。プランを1つ選び、皆でそのプランをブラッシュアップ。その後、グループ代表(プランの立案者)は会場&オンライン受講者全員に向け発表する。

星野さんからの事前の注意&アドバイスはまず、人のプランを否定しないこと、イメージを具体的にしていくこと。商品は「モノ」でなくても良い。

ワクワクドキドキを商品にする

具体的にプランを考える。

1)商品は魅力的、ワクワクドキドキするもの。客は理屈では買わない。感性に訴える商品を考える 
2)オリジナリティのあるもの 
3)お金をかけない 
4)シンプルであること 
5)2,3年後の利益を考える 
6)0円、ノーリスク

事前に各自プリントアウトした用紙に1~6のタイトルごとにプランの具体案を書き込んだ。みんな必死で取り組む充実した時間だった。

1.ビジネスの名称(10字以内)2.対象者(具体的に)3、商品のイメージ図・・商品の内容、商品の価値 4.客に生まれる価値 5.心と心がつながる売り方 6.利益計画

いよいよ内容発表 ビジネスプランは魅力的か

各グループでの白熱の議論が終わり、各グループごとの内容発表。

▼オンラインできない人向けにサービスビジネス。メルカリなど使えるように教えるなど。

▼子育てサポートとして学生服のお直し事業

▼商品名「キラキラコミュニティ」で対象者はシニア・子育てママ・退職者・暇な人だれでも、等々。各自の得意を持ち寄り、教え学び合う。参加費と場所の確保が難しいなどの課題も。

▼セラピストの資格を活かして癒しサロン。女性を元気づけたい、子供を持っている人の不安や悩みを解消したい、自然療法で心と体の健康をつくり自分らしく生きるためのアドバイスをする。

短時間で考えて、具体案までいくにはかなりハードルが高かった。

しかしこれが最終案ではなく、何回もこの作業を繰り返しセットアップしていくそうだ。ゲーム感覚で面白かった。このプランの続きはどんな展開になるのだろう。続けて挑戦してみたい。今回は入門編である。

繰り返し試行錯誤を続けてオリジナリティを出す

星野講師からのワークショップについてのアドバイスは

「どのグループも似たような傾向なのでオリジナリティを出すこと。利益を出すやり方、仕掛けが必要、公的な支援機関もある、星野さん自身も支援団体等に繋いでいけるという。とにかくブラッシュアップすることが大事」と締めくくられた。

ビジネスって考えているだけであれば面白いかも・・・閃いて思わぬところに行きつくかも・・・ワクワクドキドキするな・・・と思った。