必修講座Ⅰ-2 2021年10月16日 
講師 松本すみ子さん((有)アリア代表取締役・NPO法人シニアわーくすRyoma21理事長)

今回の講座では、現在の社会変化の解説、シニア世代の「働く事」に関しての現状とこれからの方向性等を、参加者アンケートをはさみながら講義があり、その後「働く」をテーマにしたワークショップが行われた。

変化する社会、高齢期を迎える女性たちは?

今や人生はマルチステージ化しており、生涯現役志向が加速していく時代だ。テクノロジーの進化、SDGsなどの人々の意識の変化、グローバル化によって、世界的な規模でものごとが動くようになった。そこに、コロナによって新しい生活様式が生まれている。それにより非正規社員(特に女性)の離職率失業が著しくなっている。

そこで、人生100年時代の到来と共に、長期の人生設計が必要になってくる。60代を過ぎて年金兼業生活後に訪れていた本格的リタイア時代は、今はないと考えていい。

働いていない高齢世帯の収支は赤字

2014年の総務省の調査によれば、「生活が苦しい/やや苦しい」と答えた高齢者世帯は52%に上る。年金(収入)と実際に使うお金(支出)の差を補わないといけない。

評論家、樋口恵子氏が唱えた「貧乏ばあさんの増加」説も紹介された。夫の収入に頼ってきた専業主婦が多かったことなどから、この説に根拠はある。しかし、日本人は働くなかに、喜びと自己実現を求める。働くことは苦痛でないと考える人も多い。

貧乏ばあさん(BB)から働くハッピーばあさん(HB)へ。いくつになっても、できる範囲で楽しく働きたいものだ。

自身の働く意味・目的を考える

松本さんの著書『定年後も働きたい人生100年時代の仕事の考え方と見つけ方』によれば、一番もったいないのは、働く意欲があるが、求職活動もうまくいかず何をやったらいいかわからない人が多いこと。

求められる人材として、「能力・スキルが高く、誰にでもできるわけではない事ができる層」があげられる。

しかし、それがないからと言って寝そべってTVを見ているのではなく、自分を見つめてスキルアップに励むこと。ぼーっとしていてはだめです!と叱咤激励が飛んだ。

“動き出すこと” 

それにはまず自分の意思を知ろう。なんのために働くのか、何ができて、何をしたいのか。特に経験や力はどこで使えるか、使いたいのかを考えると、どこで働きたいかが見えてくる。

セカンドライフに必要なものとして、人・もの・自分・金・情報がある。なかでも、情報を咀嚼して発信することにシニアももっと力を入れるべきではないか、と語られた。堂々と発言しよう。

さらに、チャンスに備えて資格取得や情報収集など、今できることをやろう。

「これからの人生」何をやってもいい!

趣味・特技・関心事にいそしむのもいい。これを極めると必ずニーズがあるという。

特にシニアにおすすめなのは、個人事業主やフリーランスでの働き方だ。そこから起業も考えられる。

働いて社会参加することによって心身の健康に結びつくことが、下記の調査結果からも見て取れる。付随する「良いこと」が多いのだ。


シニア女性の就労とおすすめの仕事、探し方

日本のシニアの就業率は主要国と比べても最高水準にある。

・家事代行サービス→この業界は社会情勢と共に増加するだろう。日本の主婦の家事能力は世界一。

・自営業→昔からある、自分の特技を生かして自宅で教室を開くなど。

・リフォームショップ、観光業等

仕事を探す場合は、ハローワークや求人サイトだけでなく、口コミや近所の貼り紙も注意して見るといい。

起業の場合はコンテストやロクマル、銀座アントレ等シニアの起業に特化した相談窓口もある。

いずれの場合も自治体の情報をよく見よう。

ワークショップで受講生同士が語り合う

3名ずつ、4班に分かれて30分間のワークショップを行った。
テーマは、1) 私が働きたいわけ 2)こんな仕事がしたい

(写真は、ブレイクアウトルームで4班に分かれる前)

各班様々な切り口の発表があり、「誰かの役に立ちたい」、「社会とのつながりを持ちたい」など、意欲的なコメントが飛び交った。

講座終了後のアンケートにも、前向きな意見が多数寄せられた。

・自分が思っているよりも様々な可能性がある事を感じました

・もっと自分のしたいことをやってみていいのかもと思えた。これは収穫です。

・人とのつながりをもち、いきいきと楽しみながら働きたいと思います。

講座で得たもの(筆者の感想)

ポジティブな松本さんのお話で、とても元気を頂きました。

本格的リタイア時代はないという。まさに生涯現役。

人生経験も仕事の実績も積み重ねてきたロクマル世代。

だからこそ「これからの人生」何をやってもいい!のかもしれない。

「働くこと」は心身の健康にも良いとのこと。早速動き出そうではありませんか!