2020年11月21日(土)
講師:西村美奈子さん
富士通グループに30年以上勤務、仕事中心の生活を送ってきた。夫と社会人の2人の息子を持つ。40代後半から仕事のない生活(定年後)に不安を持ち、55歳役職を離任時に昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員として「アマチュア世代の働く女性のセカンドキャリア」をテーマに研究。57歳で早期退職。59歳で(株)NextStoryを設立、自ら女性のセカンドキャリアを支援する研修システムを作った。
今回の講座では、人生100年時代における「セカンドライフ」の仕事のあり方、その仕事を地域へシフトするために必要なこと、という二つの観点からお話を伺った。
人生100年時代
日本人女性の寿命は年々延びている。今では女性の50%が90歳まで生きるのがあたり前となっているそうだ。人生100年時代である。これまでの3ステージ、教育→仕事→引退で終わりではなく、マルチステージ、生涯に2つ以上キャリアを持つ時代、高齢者も働かなくてはならない時代になった。
地域に目を向ける
定年後も働くとなった時、まずどこに目を向けるか。
以前は働くというと、どうしても都心部へ行かないと事足りない場合が多かった。頻繁に出かけるとなると意外と嵩む交通費。さらにコロナ禍でもあり、できれば無駄な通勤は避けたい。地域に目を向ける時がきた。
地域へのワークシフトのための3か条
それまで外での仕事を続け、家には寝に帰るだけ、と言っても過言ではない生活を送ってきた者は、地域活性化と言われても、地域のことは知らない、人脈もない。どうしていいかわからない。それでも地域で活動しようと思うなら、次の3つに気を付けることだと気づいた。
コミュニティの違いを認識せよ!
人生には2つのコミュニティがある。ゲマインシャフトとゲゼルシャフトである。
ゲマインシャフトとは地縁、友情などによる地域社会の利益のためのコミュニティ。一方のゲゼルシャフトとは利害関係に基づいたコミュニティだ。今までのゲゼルシャフトの仕事からゲマインシャフトの活動へシフトするのだから、場合によっては非効率を優先する場面があったり、
能力が劣っている者でも受け入れなくてはならない。
振る舞いを変える、ということを意識する。
地域社会では新参者と心得よ!
地域を支えてくれていたのは専業主婦の方々であるということを受け入れ、自分から行動し、専業主婦の友人を持つ(味方にする)ことを心がける。
地域のチャンスを活かすには固定観念をシフトせよ!
仕事とはこうあるべきという考え方を変える。たとえば、仕事第一、仕事=収入という考え方を捨て、仕事=幸福感、やりがいという考え方へシフトし、セカンドキャリアだからこそできる、自分ができる事で誰かの役に立つ、という視点で仕事を考える。
そうすることで、地域にも多くの仕事の可能性が広がってくる。
自分の強み、自分がこれまでやってきたことを要素分解(細かく分析)し、地域の中で自分の何が活かせるか、セカンドキャリアで何を手に入れたいか、を意識する。それが地域へのワークシフトである。
グループワークで得たこと
今回の学び直し塾では初の試みだという、グループワークも行われた。ワークではひとりひとり意見を語る時間もあった。お題は、これから地域で活動する上での壁について。
・自分の周りにはすでにコミュニティができている
・自分に何ができるかはっきりとみえていない
・気持ちはあっても発信する覚悟がまだできていない
などの意見が出た。
ワークシフトの気持ちはあっても、超えなければならない壁はある。今回のワークで自分に問いかけ答えを導き出そうとすることで、課題はみえてきた。
地域に活動の場を移すということ
何のために働くのか。
地域に活動の場を移すというのはどういうことなのか。
講師の西村さんの最後の言葉、
「成功」は他の人が決める
「幸せ」は自分が決める それが
セカンドキャリアの仕事とは何なのかを物語っているのではないだろうか。