開催 2022年12月1日(木)
会場 ロクマル事務局・Zoom
講師 澤岡詩野さん(公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団主任研究員)https://rokumaru60.info/lec_20221110
2回目を受講した30代の方から届いたコメントを紹介します。
「自分以外の誰かが一人でもいれば、あぁ、自分だけじゃないと思えて、生き方が楽になるのかなと思います。それが家族だろうと他人だろうと区別せず広げていけたり、また人間関係は人によって本当に違うので自分なりの人間関係を構築して、誰とも比べない自分らしい生き方を力を抜いてリラックスした形で生きていければ何歳になっても楽しく生きていけると思います」
1回目の講座では、自分と周りとの関係性を大切にしながらの5年後、10年後の豊かさについて考えを巡らせた。2回目の今回は、80代、90代の方の実体験を伺いながら、さらに豊かな地域共生社会を創る心構えについて、老年学の第一人者澤岡詩野さんと参加者が共に考え意見交換した。
「レジリエンス」で豊かな高齢期を
「レジリエンス」とは、困難に直面している状況に対して「再構築する力」「バージョンアップする力」を意味する言葉。
○年後の自分を考えた時、少し先の変化をイメージしながら最期の迎え方にいかに備えていくか、時間が長くなっていく人生で豊かさとどう折り合いをつけていくか、漠然とした不安が生じる時、レジリエンスという大きな力が高齢期にも求められる。
では、レジリエンスをどうしたら発揮できるか?
ポイントは「一人ではない」ということ。一緒に自分を客観的に見てくれる人、つぶやきを聞いてくれる人、共感してくれる人、伴走してくれる人がいるかいないか。親友でなくてよい、日常のそこかしこで接点のある人がいると、レジリエンスが生まれて豊かになる。
この豊さを考える上で、人とのつながりを持てる場、しかも5年後、10年後もそこに「関わり続けられる場」も大きな力となる。ただし、合わないことを無理にするとストレスになる。そこで、「自宅から近場」、「ほどよい距離感のあるなじんだ」場やつながりを持ち、それを誰かに「シェアする」。80代が60代に生き方を見せるなど「多世代」が大事な視点となる。
ハチマル・キュウマルになっても「輝ける」場やつながりとは?
戸塚のコミュニティスペースで活動をしている三人の対談を通して考えてみよう。
今までの人生での大きな転機は?
Mさん:30代の子育て時代、地域の文庫活動や生協の活動で「目がキラキラしている」人たちに出会った。物ごとの考え方に共感し価値観が変わった。「人が好き」に気づき、いろいろな人がいて良いのだと実感した。今のコミュニティでさらに一皮むけ、ここで育ててもらっていると思う。
Aさん:留学生支援の仕事を通して、さまざまな国の人々に多様な考え方があることが当たり前になり「日本人離れしているね」と言われるほどになった。誰とでもその人なりに付き合える。今の年代になってみると、自分が思い描いていたのと実際は違い、以前よりも世界が広がっていると感じる。
Tさん:「年をとったら子供に帰る」という言葉があるように、「そうだ子供に帰ればいいんだ」と思うようになった。自分を形成している細胞や器官を総動員するつもりで、子供のように感覚的に自分をとらえる。「左の足、お願いね」と言って左足を動かす、自分の体にありがとうと思う。親から命を受け継いでいることに気づけて、今はとてもハッピーよ。
若い世代やロクマル世代を応援したいと思ったきっかけは?
Tさん:今でこそセクハラやパワハラという言葉が市民権を得ているが、自分が20代30代の頃の勤め先には、そうした雰囲気がなかったとはいえない。解決方法も相談相手もなかったが「こんなことでは負けないぞ」「今に見ていなさい、いつまでもこんな時代は続かない」と確信していた。
今大事に紡いできたことを今後も続けるにはどのようなものがあれば良いか?
Mさん:足を怪我したことがきっかけで、近場での関係を大切にして続けていきたいと思うようになった。
Aさん:お金より人が財産だと思う。コミュニティに関心がない人、敷居が高いと感じる人をどう迎え入れたらよいかを考えている。
Tさん:86歳を過ぎた今思うのは、何かの形で一本でも世の中とつながりを持ち、そのつながりの糸を切らないことが「より健康」ということ。いろいろなことにアンテナを張っていくことが大事。
身近なところから地域共生社会を創っていこう
今の年齢に10歳を足してみて、今関わっている場に何をすれば10年後も同じように関りを持ち続けていられるか考えてみよう。
参加者それぞれの人生を語ってシェアしあった。
★50代で車椅子生活になり、一足飛びで先の年代の感覚を味わっている。コロナ禍、オンラインが生活を一変し、Zoomで世界が広がった。10年後はメタバースの世界がもっとリアルに広がっているのではとワクワクしている。
★思いもかけないことがあった時、友達の良さを感じている。熟成してじっくりつながっていきたい。合わない人は思い切ってすっぱり切る。自分に合ったやり方でつながっていけば良いと思う。
★苦手なことから逃げていては後悔する。お手紙弁当の手紙に絵を描くというチャンスがあるのに、これを逃す手はない。そう思い、76歳の手習いで絵を習い始めた。
★退職して10年経った今、毎日充実している。新しいことに挑戦している。10年後も元気でいるために、ストレスをためず、自分の基本となるものを一本軸として持って10年後も続けたい。
★自分が相当頑張らなくても、ヒントやきっかけは目の前にたくさんあることに気づいた。揺らぎがあるが、揺らいで当たり前。仲間や場があって心が開くと揺らぎが微調整できるだろう。