特別公開講座Ⅰ 2021年12月3日

日常を支える製造業

急な坂道を登りきると、昔ながらの町工場の風景が広がっていました。

東山田工業団地。横浜市都筑区の東山田準工業地帯です。昭和49年から始まった港北ニュータウン開発時に点在する工場を集約して準工業地域に指定されました。ここにはコンビニはありません。レトロな雰囲気の街並みです。

カフェDENは地域唯一のカフェ。ワーキングスペースも備えられたおしゃれな空間。社長男澤さんの「日常を支える裏側を拝見」を合言葉に現場見学ツアーは始まりました。

地域を知る第一歩へ

参加者は40代~70代の9名で参加理由も様々です。地域でどんなものが製造されているかを知りたい。1ヶ月前に引っ越してきたので町そのものを知りたい。地域への興味がうかがえました。

ビンテージ加工でデニムをイケメンに (有)動夢計画

入口にはプチプラブランドデニムの段ボールが山積みされています。みなさんが愛用のビンテージデニムはここで加工されているのかもしれません。洗濯機、乾燥機が並ぶ工場の中に、なぜかゴルフボールがたくさん入った箱が置いてある。これをデニムといっしょに洗って、いい風合いのビンテージデニムに加工するそうです。働いている方々はデニムが似合うイケメンぞろい。皆さんの感性が、素敵なビンテージデニムを作り上げているのだと納得。

イケメン社長の九鬼さんによると、動夢計画とは夢を叶えるために動くという意味だそう。こだわりデニムのブランドも立ち上げて、夢に向かって動き続けている工場でした。

ヒーターでお困りごとを解決 (株)スリーハイ

赤と黒をベースにしたおしゃれな外観で、ここでヒーターが製造されているなど想像もつきません。

スリーハイで製造されるヒーターは、バイキング料理の保温から小惑星探査機はやぶさの部品まで多岐にわたっています。気が付かないうち私たちの生活に寄り添ってくれている製品です。製造作業をされている作業場で、技術担当、営業担当の熱いお話をお伺いしました。お客様のご要望に合わせたカスタマイズ製品を少量多種で生産されています。ものづくりの臨場感を体験できました。製品にも触らせて頂き、ヒーターを身近に感じる機会となりました。

想いを形にするオーダー家具 (株)シーアンドディーアソシエイツ

工場に入ると木のいい香りが迎えてくれました。ここでは生活に合わせたオーダー家具の製造がおこなわれています。高森工場長が30年以上も使い込んだ道具を手に語る木の魅力に、参加者は聞き入っていました。お客様のお話を聞いて担当が設計した家具を職人の手で形にして行く。想いを丁寧に形にした家具だからこそ生活に馴染んでいくのだと、オーダー家具の魅力を感じました。

ワークショップでは長年大事に使われているカンナをお借りして、熱血指導のもと、木を削る体験をしました。きれいに削れると嬉しい。ものづくりの楽しさにふれた時間でした。

現場見学ツアーのその先

都筑区東山田では日常で使うものから宇宙事業まで様々なものが作られていました。

「現場の声を聞いて、製造業を身近に感じました。」「技術等もっと詳しく聞いてみたい。」との参加者の声。

この地域はまち探検プログラムを展開し、今回のツアー以外にも小学生の工場見学等で身近なファンを増やしています。

地域に根付いた製造技術と地域の需要を掛け合わせる。男澤社長の想いでもある、つくる「企業」とくらす「住民」のコラボレーションを実現する。

カフェDENはそんなサードプレースにもなるのではないか?

ここでビジネスアイディアのプレゼンテーションが開かれ、それが製品化されていくような。そんな未来を想像しながら坂を下り帰路につきました。

ロクマルライター講座修了生 木村史子